「あっ、白髪」
たった4文字でこれほどまでに戦慄する言葉があるでしょうか(笑)
目線は白髪に完全ロックオン。それまでの穏やかな空気に緊張が走る瞬間です。
言った本人は軽いひと言のつもりなのかもしれません。でも言われたこっちは、胸の奥がギュッと締めつけられます。
これは白髪と長く付き合ってきた私のちょっとした胸のうちです。
- 白髪を他のちょっとしたトラブルと同じように指摘されるからモヤモヤする
- プロからのアドバイスでも受け流せないときがあるよね
白髪を指摘する人は親切心かもしれないけど
白髪は他のちょっとしたトラブルとは訳が違う
世の中にはちょっとぽっちゃりしているとか、肌が荒れているとか、髪が薄くなってきているとか―――
そういった見た目の変化をあえて指摘してくる人っていますよね。
指摘する人の中には、悪気があるわけじゃないっていう人もいるのでしょう。
なんてことを本人は思っているのかもしれません。まぁ、ありがた迷惑なんですが(笑)
私自身子どもの頃から白髪が多く、何度も友達やクラスメイトに指摘されてきました。
もちろん子どもなので悪気はないのが大半です。だからこそ余計に直球で、ズシンと心にくる。
でもね、言われなくても分かってるんですよ。ずっと前から気づいてるし、自分が一番気にしてるんです。
なのに「わざわざ」言われると、どうしたって傷つく。
歯に食べカスがついてるとか、ズボンのチャックが開いてたとか、すぐに直せることとは訳が違います。
指摘されたところで、白髪は本人にくっついて離れません。だからこそ根が深いし、厄介なんです。
プロからの指摘はこたえる
美容師さんの言葉って、良くも悪くもプロの視点なんですよね。
私は学生のころから美容院ではカットだけです。白髪染めはずっと自宅でやってきました。
カットだけにも関わらず、「白髪が多いね」とか「白髪染めてるの?」という一言も、ただの世間話の一環なのも、理解はしています。
自分が一番気にしていることって、たとえ軽い口調でも、触れられると精神的にきませんか?
しかもこっちはカットだけお願いしているのに、思いがけず白髪を染めるとかの話になる。これはもう、アドバイスというより、不意打ちです。
お金を払って、気を遣って、そして心を削られるのって、なんだかな…と感じてしまったんです。
学生の頃なんて「白髪のこと言わないでください」なんて言える勇気もなくて。
- プロの目線での当たり前が、こちらには重く響く
- そっとしておいてほしいのに、日常会話にされる
- 自分が一番気にしていることを無防備に突かれる
「なんか疲れるなぁ」と感じてからは、自然と予約なしで入れるカット専門のお店を選ぶようになりました。
無駄なおしゃべりもなく、必要なことだけを淡々としてくれる。その方が私にはずっと楽でした。
もしかしたら美容院がなんとなく苦手だったのは、こういう小さな出来事の積み重ねだったのかもしれません。
白髪があるのはわかってるんです。どうしようもないって。
「白髪あるよ」なんて言われなくても、自分が一番わかってます。もう何年も前から、鏡を見るたびに実感してきました。
なのにどうして他人はそれをわざわざ気づかせようとしてくるんでしょうか。親切心? そんなふうには思えません。
こちらからすれば、すでに痛感している事実を改めて突きつけられているだけ。ただただ、気持ちを押し付けられているように感じます。
好きでこうなった訳じゃない。ちょっと人よりも見た目の変化が大きくて、目立ちやすいだけ。人一倍悩み、傷ついてもきました。
でも時代はちょっとずつ変わりましたね。昔に比べて、他人の見た目をあれこれ言うのはNGという風潮になってきました。
多様性って言葉には賛否あると思うのですが、コンプレックスの割合が高いであろう白髪も、許容されつつあるのは素直にうれしいです。
白髪を指摘する側の思考を想像してみる
白髪を指摘する人の中には、年齢の割に白髪が目立つことが衝撃だったり、かえって新鮮だったりするのかもしれません。
その人にとっては未知の世界だからこそ、思わず口に出ちゃうのかも。

白髪ケアしてるといっても、全くしてない人にしてみたら「えっ、それで?でも白髪見えてるけど?」って感じに見えるのかな。
白髪染めって、キレイをキープするのが難しい。
完璧に隠そうとしても、2週間もすれば根元がキラキラしてきて、また染めたくなる。
その染めどきのサイクルにいつも頭を悩まされる。これって実際に白髪ケアをしている人にしかわからないことです。
少し前の美容師さんの話に戻りますが、今思えば染めたつもりの白髪がムラになっていたかもしれない。不自然な髪色だったかもしれない。だから思わずプロの視点からアドバイスしたくなっちゃったのかな。
冷静に考えると、そう解釈できるようになりました。となると、この場合はきっと親切心から言ってくれてるんですよね。
指摘って、言われて「そうだよな…」と納得するときもあれば、そうでないときもあるので難しいです。
悩みのまっただ中にいるときって、いいアドバイスすら響かないときがあるように、冷静さを欠くとどうも私はダメみたいです。
でも明らかに「失礼だろ、それ!」ってときは、受け流したほうがいいのはわかるけどね。
まとめ
白髪は指摘されたからといって、簡単にどうにかできるものではありません。白髪を指摘されるのが嫌、という気持ちはごく当然の感情です。
白髪を指摘されるたびに、「わかってるよ」と心の中で叫びながら、なんとも言えない気持ちになっていたり。でも同時に染めて隠すことに必死になっていることにも、嫌気がさしてくるのも事実。
そもそも白髪を染めるのは何のためでしょうか?
私は学生時代、「友達と同じような黒髪でいたいだけなのに」と思って白髪を染め続けてきました。大人になっても黒髪なのはきっとその延長線上。自然な髪色でありたいという気持ちが残っているのかもしれません。
でも白髪があることで自分の価値が変わるのか?誰かに迷惑をかけるのか?おそらく、ないはずです。
覆い隠すことだけが、白髪との向き合い方じゃないはず。長年染め続けたからこそそう思えるようになり、次第に染める色や染め方も考え直すようになりました。

いきなりグレイヘアまで行けなくても、【きっちり染める】と【染めない】の間に、選択肢があってもいいよね。
白髪を見せたくない、でもキッチリ染め続けるのはツラい。そんな気持ちを持っている人こそ、ゆるいケアの選択肢もあるよということも知ってほしいなと思います。